9月の中旬までは秋というより夏に近い。だから#368までは、祭りにイベントにさらには太宰治の生家訪問にと、モチベーションもアクションも割とハイテンションのまま推移した─のかも知れない。やはり夏萌えなのだろうか、まあそれは否定はしないけど。そして秋の実質的な始まりが9月下旬とするなら、撮影モチベーションは秋の訪れとともに勢いを失い、10月の声を聞くや一気に急降下と、まるで10月6日の株価急下落に連動したかのような低調っぷりであった。
ブラックマンデーに相当するのは、#370のネタにもなった9月28日のパソコン電源の破損だったかも知れない。その数日後、メインPCのハードディスクが新品換装後12時間でクラッシュという、悪夢のような出来事が発生し復旧に明け暮れた。なにせ個人情報満載のデータ500GBである。その時のショックと費やした労力は長寿庵の大盛蕎麦以上だ。二度目は勘弁願いたいのココロである。
「正常営業」に戻ったのは10月20日頃、すなわち#372の自転車による戸井線跡探訪セルフツアーからと言える。その間「麺フェスタ」という、それなりにメディア露出している食イベントがあったのだが、なぜだかあんまり訪ねる気もせず、とはいえこの目と舌で確かめずには何も始まらないので、閉場一時間前というやる気のなさで訪れては「日本最古のラーメン:南京麺」なるものと、「横濱一品香:絶品横浜たんめん」を賞味して、あまっさえ主催の方々と名刺交換までさせていただいたのだが、感想は──まあ機会があれば語らせていただくことにするとしておく。ボランティアとして奮闘されている方々の事を考えると、美味い不味いというアウトプットだけを気軽かつ軽率に語るわけにはいかないという、分別というか最低限の思いやりを、ワタシは持っていたいと思うわけですよ。
モチベーションと撮影枚数がほぼ比例するとするなら、復調の兆しは#377の北水祭だったと言えるだろう。11月2日は当日も前日も天候は最悪で、実のところ前日まで撮影はおろか外出の予定すらこれっぽっちも無かった。雨の日と嵐の日は自宅で黙々とデータ整理と決めている。そうでもしないと永久凍土に埋もれて行く写真をツンドラから救い出すことが永久に出来なくなってしまうだろう。なにせ永久凍土だもんね。と思っていたらお呼び──というか単なるサジェスチョン?──がかかったのだ。いかにも急であるが有事即応も大切な資源であるから拒みもせず、いそいそと出かけていったらこれがけっこう良かったのだから、なるほど「馬には乗ってみよ人には添うてみよ」である。
それからおよそ10日後。市内のランドマーク撮影の仕事にワタシは初めて自転車を使ってみた。エリア的に車よりフットワークにアドバンテージがあって、取材とは異なり一人で撮り歩くだけだからこそ可能な力業であったが、これがまた良かった。そのアウトプットは深秋の公園や何気ない街角のスナップだったり、一見無関係な#380の月の写真(偶然ですよ偶然)だったりする。初積雪までおそらく1週間もないだろう。にもかかわらず日中は薄手のジャケットでも汗ばむほどに暖かく、想像以上に秋色を帯びた街角がいっぱいの陽差しで溢れている。その様は一文字で表すと「美」。それが嬉しくないはずがない。撮影枚数が鰻の滝登りになったのも当然至極の成田行きというものだ。
だからというわけでもないだろうが、その間にD300での撮影枚数が二万枚を超えていた。購入したのは今年の3月中旬だからおよそ8ヶ月。月平均で約2500枚は、仕事も混ざっていることを考えると決して多いとは言えない。ただ、カメラを同時に2台使うことも多いことを考えると─それでもやっぱりそんなものかなと思う。ワタシ的にはまだまだシャッターは押し足りないのだが、ひとまずここはセルフ・コングラチュレーションしておこう。祝・D300撮影2万ショット。その間一回修理に出しているからイエローカード1枚だ!今度また故障するなら保証期間に頼むぞニコンD300!
そして季節はいっときの株価並みの勢いで冬へと向かっている。そのずっと先に春が控えているけれど、冬を乗り切らないと春は来ないし夏も来ない。冬は自転車に乗れない。乗れないことはないし高校生までは普通に雪道を走っていたけれどそれはいつの話だという話だ。関係ないかも知れないが今は21世紀も8年目なのである。だからまずようやく下げ止まった株価並みのモチベーションを、まずはこれ以上落とさないよう心がけて冬を迎えよう。可能なら今年の冬は(冬こそ)熱く萌えたいものだ。沖縄に住めば問題解決だがそれはそれ。当面は厳しい現実を見据えることとする。蟻とキリギリス、そのどちらかと言えば両方でありたいと願う2008年秋のワタシなのであった。
使っているカメラ
NIKON D70 NIKON D70s NIKON D300 CANON IXY-DIGITAL70