夏の訪れに心が蠢き始めると、身体は焼けつくような日射しを求め始める。ご先祖さまは南の島から牛車に乗ってやってきたに違いない。7月の声が聞こえ、最高気温が23℃を超えた頃ともなれば、カメラを持って海辺に立っている日も多い。DNAにはたぶんプログラムされているはずだ。太陽は東から昇る=夏、私は太陽に向かう−ぜんぜんOK。それが因果応報てなもんだ。(注:函館の海岸線の多くは街の南側) で、そんな6月末のある晴れた日、カメラ片手に茫洋たる海をボーッと眺める私に突然の啓示が訪れる。−海峡を渡り大間に向かえ、自転車で−それがめっきり出番の減った守護天使様の、ヒマを持て余した末の囁きだったとしても、夏の南進に異存があろうはずもない、むしろ望むところでさえある。かくしてその夏、私は自転車に乗り海峡を渡る風となるのだが、函館に生まれ育ち幾年を経た末の、なんとまあ、それが初めての経験だったのであった。
ニコンD70 OLYMPUS C3030Z
シグマ50mmマクロ