忘れもしない2006年1月21日。冬の大沼を撮るべく立ち寄った季節限定のスープカフェ。店内に飾られた写真に出会い頭のカウンターパンチを喰らう。まあお見事としか言いようがない大沼の風景写真たちは、間違いなくマイベストの当社比数百倍は素晴らしく、それが一つや二つじゃないってんだから、塩ふって圧力釜に入れられたナメクジも同然だ。似たような場所で撮った写真が、光も色も構図もジンギスカンの使い捨て紙皿とマイセンの皿くらいの差があるのだ。ショックでしばらくカメラを手にすることさえできない時期が続く。どっちがマイセンでどっちがジンギスカンなのかそんなこと言いたくもないが、忘却力のおかげで一週間後に立ち直ったのだからバカって強い。きっかけは大森浜で出逢った風景だ。その時の写真が#228と#229である。そして二週間後の転職。それが撮影という仕事のあらたな始まりだったというのだから、お釈迦様もびっくり仰天なのである。
カメラ:ニコンD70
レンズ:シグマ50mmマクロ