延長三十回裏の9月ギリギリまで粘った晩夏の抵抗も終わりを告げ、アラビア数字が二桁になったカレンダーを眺める。ようやくリアルな秋が訪れたという期待感と、本当に秋になっちまったという寂寥感に、ビターの効いた大人のスウィーツな色香をふと感じてしまう。澄み切った空に映えわたる黄金色の稲穂や赤く実ったナナカマドの、奥ゆかしくもあられもないしっとり艶やかなさまは母であり女、女であり母。豊穣の母なる大地ビバ・マリアじゃなかろうか。短い北海道の秋は、できる限り秋らしく秋萌えでいきたいところだが、秋のど真ん中ストライクな10月は同時に冬のカウントダウンの始まりでもある。下旬に積雪スリップ渋滞接触事故という事態も珍しいことではないのだ。決してキライではない冬だが、こう毎年律儀に訪れる必要もないでしょう。せいぜい四年に一度、冬季オリンピックの時だけで充分じゃないか。。冬がキライだからじゃない。萌えないだけだ。
ニコンD70
シグマ50mmマクロ