いささか国籍不明っぽい店内に足を踏み入れるや、日本語の挨拶と中国語のやりとりが耳に飛び込んできた。もちろんオーダーは日本語で良いが、スタッフ同士は中国語オンリー。おまけに隣席のヤンママ達は謎の言葉で盛り上がっている。ともあれ、かねてから気になっていた水餃子と日替わり定食を迷わず頼み──その量に驚く。そもそも水餃子だけで腹一杯になりそうなのに、定食のボリュームと来たらハンパじゃない。一瞬の逡巡ののち、水餃子を一口頬張るや、ナンデスカコレ!?アツアツの肉汁という名の幸せがジュワッと溢れ出た。ああこの幸せが少しでも長く続きますようにと願ってみるものの、ワタシの腹に幸せを独り占めできるキャパは、どう考えたってありそうもなく、残してしまうことは宝くじが外れること以上に明白だし、いっそのことと隣席の国籍不明な彼女たちに、食べきれそうもないアツアツの幸せを振るまってみる。折しも例の島がらみのニュースが流れる中、呆れ半分で微笑む店員達や、生あたたかい表情の客達の視線に晒されながら、ちょっとだけ幸せな時間は過ぎていくのであった──あと、キミが笑ってくれたら完璧だったんだけどね。
2010年10月1日 東京都大田区西糀谷4-26-8 四川餃子房にて MAP
NIKON D90 1/20秒 F4.0 240mm(35mm換算)