川原緑道は本通3丁目ローソン近くの交差点からテニススクール前までの全長わずか数百m。自転車ならあっという間の距離だ。しかし、そのわずかとも言えるスペースには、設計者の遊び心が凝縮されている。沿道には高低さまざまな植樹がなされ、道は木々の間を縫うように曲がりくねっている。日本庭園のような小川(水は流れていなかったが)があり、石づくりの橋が架けられ、水飲み場があり、傍らには四阿さえ設けられている。その作りは誰がどうみても立派な公園である。緑園通とは異なり、歩行者・自転車の通行区分がないことが特徴で、距離が短い分だけ、より公園色が強く感じられる。遊歩道という表現がまさにふさわしい道だ。
自転車にとっては本通から深堀町へのショートカットとしても便利な道だが、良く晴れた日には自転車から降りて、ゆっくりと進んでみたい。沿線の風情を楽しみつつ、立ち止まっては振り返り、振り返っては進む。そうやってのんびりと歩いてゆくと、たかが数百メートルにも満たない道が、実に豊かな表情を持っていることに気づく。春ともなればちょっとしたミニ桜トンネルも楽しめるし、10月末頃ともなれば紅葉が見頃を迎える。沿道の家並みや一般道との交叉部にもちょっとした見どころが多く、じっくり散策するときっと密度の濃い時間を過ごすことができるだろう。参考になるかどうか分からないが、私の最低通過速度は約0.1kmだ。毎分ではなく毎時。しかも自転車である。たかが数百メートルかも知れないが、されど数百メートルなのだ。
川原緑道:屈曲をつけられた道を行く自転車